思いでのオルゴール

日本で精密機械工業が盛んな場所といえば、長野県諏訪市と諏訪湖周辺だろう。
ここは東洋のスイスと言われ、時計で有名なあのメーカーもここに本社がある。
時計だけではなく、オルゴールも有名だ。

私の地元はこの東洋のスイス地帯なのだけれど、小さい頃からオルゴールは身近にあった。
ネジ回し式のもの、手回し式のもの、それに今ではすっかり見なくなった蓋を開けるとバレリーナが踊るもの。
今は磁石でバレリーナが踊ると言うのが分かるけど、当時は不思議で仕方がなかった。
音に反応するのかと思い、他のオルゴールに乗せてみたりもした。
時計の時報がオルゴールのものや、音楽と一緒に首がゆっくりと動くぬいぐるみオルゴールなどいろいろなオルゴールがあた。
バレリーナの踊るオルゴールの他にもお気に入りのオルゴールがあった。
手回し式のオルゴールで、シリンダーについたピンがオルゴールの歯を弾いて音がでるタイプのシリンダーオルゴール。
早く回せば早く鳴り、ゆっくり回せばゆっくり鳴る。
一つ一つのピンが歯を弾く様子が面白くて回しながら眺めていた。
歯とピンがかけて鳴らなくなるからと、逆回しは禁止されていたものの、好奇心には勝てず逆回しにして見事にピンがかけてしまったものもある。
そして一番のお気に入りは電話の保留音の変わりに鳴らすオルゴール。
当時はまた黒電話で保留機能がなかった。
そのオルゴールは電話のフックのような形をしていて、受話器を置くとオルゴールが鳴る仕組みだった。
壊れて捨ててしまったが、修理をして残しておけばよかったなと思う。

恋人よりも友達を大事にしたい時期

お互い久しぶりに会ったという偶然が恋だと思って勘違いして恋愛していたことに気がついた私。
そして、その私よりも一歩先にそのことに気がついて私に別れを伝えてきた彼。
私は彼を責めることはしませんでした。

なぜか、妙に彼の言葉に納得した自分がいたのです。
「友達に戻った方がお互い幸せの様な気がしない?」
その言葉は、本当に二人のことを思って言ってくれた彼の言葉の様な気がしました。
恋愛をしたいと思っている時にたまたま会ってしまった私たちは付き合い始めてもうまくいかないことばかりでした。
付き合っていくうちにどうにかなっていくだろうと思っていたことがなかなかうまくいかず、いつまでたっても喧嘩ばかりでした。
友達としては許せるけど、恋人だったら許せないことはたくさんあります。
友達をお互い大事にしたいと思っている時期だったので、特にすれ違う気持ちはたくさんありました。
友達との付き合いを優先して、彼に全く会わなかった時もあります。
彼も女友達が悩んでいるからと言って、その子の家に朝までいて喧嘩になったこともありました。
でも、お互い「彼氏彼女ができたから、友達付き合いが悪くなった」なんて言われたくなかったのです。
そんな私たちは自分たちでも恋人よりも友達を大事にしていることに気付いていましたが、それをやめませんでした。
きっと彼は恋人よりも友達を大事にしたいと言う自分や私の気持ちに気付き、これ以上二人の関係が悪くなるくらいなら、大事にできる「友達」に戻ろうと言ってくれたんじゃないか、と今でも私はその彼に感謝しています。

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